アラサーの普通の男が普通に綴る。

twitter→@jonyjonyjony666。どこにでもいるちょっとチビでちょっと童顔な アラサーのおっさんです。 ちょっとだけ世の男性と違うのは、 20数年は女子として生きてました。 生まれた時は女の子でした。 30歳手前にして男性になりました。 俗に言う、性同一性障害というやつです。 ただ、それだけです。 そんなおっさんが普通に過ごす日常で 思ったことや感じたことを普通に綴る。 そんな日記です。

最初で最後の手紙。



「最後の手紙を書きます。

まず伝えたいことは私は変わらずあなたのこと大すきです。」




彼女からもらった最後の手紙は

この一言で始まっていました。



ただただ嬉しかった。


「あ~なんでわかってあげられなかったんだろう。」


という思いより、

すごく嬉しくて、「良かった」って安心した。


それほどまでにもう僕は彼女に愛されている自信がなかった。


別れた事に後悔は本当にない。

別れる事でしか気付けない事だらけだった。

別れなければきっとずっと怯えたまま彼女と付き合う事になっていた。



あんなに大好きで会いたくてたまらなかったのに、

いつのまにか会う事すら怖くなって、

話すことすら出来なくなっていた。



LINEで別れを告げた。



彼女はきっと納得できなかったと思う。

でももうそれでも良かった。


カミングアウトもLINEでした僕に、

彼女はきっと「また逃げた」と思っただろう。


でももうそれでも良かった。


何回かやり取りをして

初めは納得できなかった彼女も

もう納得するしかないと思ってくれたのか、

「今までありがとう」と最後のLINEがきた。


僕もありがとうを伝えてLINEは終わった。



週明けの出勤で顔を合わせた時、

明らかに彼女のテンションは低かった。落ち込んでいた。

正直、僕と別れたぐらいでそんな風になるなんて思っていなかった。

彼女の人生に僕は必要ないようにしか思えなかったから。


心の中で「ごめん」とひたすら謝る事しかできなかった。


気軽に話しかけて笑顔にしてあげる事もできなくて、

こんな時も僕は自分が1番可愛くて女々しくて頼りなくて弱い。




次の日の朝、仕事で嫌なことがあった彼女から相談のLINEがきた。


頼る人が他にいなかったのだと思う。

気まずかった中で僕に連絡してくるぐらいだから相当参っていたのだと思う。


もう二度とLINEなんてこないと思っていたし、

こない事に少しホッとしていた自分もいた。


なのにその時、純粋に


「支えたい」


と思った自分がいた。


あ~俺はこの人のこと人として大切なんだなぁって気付いた。


彼氏としてではなく、会社の仲間として

できる事があればしたいと思った。


そしてその日、僕の荷物置き場に子供ちゃんと作ったバレンタインを置いていってくれた。



本当は昨日渡そうとしてくれていたらしいけど、

思った以上につらくて

僕の声を聞くだけで泣きそうになっていた、と。


でも、相談LINEのおかげで

普通にやり取りができて、

これから少しずつ慣れていければなと思った


という内容のLINEが仕事終わりにきた。




そのバレンタインの入れ物の中に、

最初で最後の手紙が入っていた。



誰かと別れる時、

最後の手紙をもらった時、

大抵はせつなくて、心臓が握り潰されそうなほど苦しくて、今までを後悔して、すがりつきたくなる。


だから読むのをためらったけど、

彼女から初めてもらう手紙だったからそれも何だか嬉しくて。


手紙には、

僕の事をどう想ってどう考えていてくれていたのかが綴られていた。

彼女が「FTM」という単語を知っていたのも手紙を読んで初めて知った。



調べてくれていた。

けど、調べている事で気にしていると思わせてしまうんじゃないか、傷つけてしまうんじゃないかと思っていた、と書かれていた。



それも含めて、全部全部全部。

ただただ嬉しかった。


気付いてあげられなくてごめん

という気持ちはもちろんあるけど、

あのまま付き合っていても絶対気付いてあげられなかった。



彼女は僕を大切に想ってくれていた。

僕も彼女が大好きだった。


もうそれがわかっただけで十分だった。

どんな想いよりも「嬉しい」でいっぱいだった。



こんな早く別れがくるなんて思っていなかったけど、

好きになった事も彼氏になれた事も家族になりたいと思わせてもらった事も別れた事も

何1つ後悔はない。



彼女の隣にはもういられないけど、

彼女の隣の席の新入社員として

幸せそうな彼女を見られる日がくればいいな。






「こんな私ですが、これからもよろしくお願いします!

本当にありがとう。大すきでした。」





俺もあなたの事が大好きでした。

本当にありがとう。